・・・かぞえようっ、百数えなければ・・ ・・・こんな処で死にたくなどない・・・
「ひ・・・ひっ」
糸里は、震えのため声がでなかった。
数えたいのに、数えなければ殺されるのにっ 恐怖と焦りが声を詰まらせる。 男の顔が糸里の耳元に近づく気配がした。
・・・・・殺されるっ・・・・・ 鼓動が一層激しくなったその時、
「ひい・・ふう・・みい・・・よ、いつ・・・」
復唱を促すように男が数え始める。しかしその声は先ほどまでの有無を言わせぬ 声色ではなかった。 まるで幼子に聞かせてやるために、わらべ歌を唄っているかのように 優しい声であった。
そのなだめるような声に釣られるように糸里の声が連なる。
「ひぃ・・・ふぅ・・みぃ・・・よぉ・・」
そして、男の気配が消えた。
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