第一章「泥濘」三

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新撰組活劇「幕末新撰組絵巻 沖田総司物語」の小説は縦書きをメインとしていますが、横書き版小説も下段に掲載しています

幕末新撰組絵巻〜沖田総司物語〜第一章「泥濘」:238頁横文字版小説


 ・・・うっ・・・

糸里は、泥に塗れた自分の体をみて、そして男に捨てられたみじめさから嗚咽した。

そして蹌踉けながら立ち上がろうとした時、その肩を押し下げられた。

「立つな、そのまましゃがんで顔を伏せていろ」


「えっ」糸里が振り返ろうとした時、バサッと何かが頭より被せられた。

「ひっつ」恐怖のあまり再びしゃがみ込む。


「いいか、両手で顔を覆い、そして百数えていろ。数え終わったら来た道をれ、
さすれば・・・お前は助かる。
だが、男を追えば・・・斬る。」


男の声が暗闇に響いた。


突然背後に現れたこの男は誰なのか・・・なぜ、数を数えねばならないのか・・・
なぜ、あれほど愛しんでくれた平間が・・・自分を捨てたのか・・

女は必死に考えようとした・・・が、
眼を塞ぐ暗闇が唯一の助かる道を指し示す。
 

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