永倉新八は、生粋の武士である。 突きつけられた刃を畏れたわけではなかった。
・・・わたくしごと・・・その一言に、我に返り、そして、この新撰組の存亡をかけた勝負に自らの私怨に先走ったことを恥じたのである。
「すまん、土方さん。」
その言葉を認めるかのように土方は、刀を下ろした。そして永倉は、踵を返し平間の追捕の命令に従った。
永倉と替わるように息を荒げた原田左之助が部屋に飛び込んできた。
「野口は今夜は、ここへは戻りそうにない」
土方の指示で野口健司の様子を伺いにいっていた原田がもどってきた。人目のある場所でやるわけには、いかない。
「野口は、今夜のことに気づいていそうか?」
原田は土方の問いに 「いや、それはない。何も感づいてはおるまい」 そういって首を振った。
「そうか、なら別の手をとる。あとは、永倉らと動いてくれ」
土方歳三はは原田左之助にも平間追捕を促した。
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