第一章「残雨」四

「残雨」四
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新撰組活劇「幕末新撰組絵巻 沖田総司物語」の小説は縦書きをメインとしていますが、横書き版小説も下段に掲載しています

幕末新撰組絵巻〜沖田総司物語〜第一章「残雨」:205頁横文字版小説

 
 小栄は、ガクガク震える・・・そして、こらえていたものが溢れ、
しもを濡らしてしまった。

男の声は容赦なく続ける。
 「このまま、真っすぐ、振り向かずに門をでろ。さすれば、命は取らぬ。
  よいか、決して振り向くな、そしてこのこと何人たりともに口外するな
  ・・・たがえれば・・・斬る。」

小栄は、出ぬ声の代わりに必死に何度も頷いた。

そして男は、「いけっ」と彼女の背をついた。

小栄は、決して振り向きはしなかった・・・
彼女の眼にはただ、八木邸の門だけしか映らなかった。
平山のことなど片隅にも浮かばなかった。
所詮、一夜二夜だけの買われた仲である

そして濡れたことへの恥じらいすら忘れ
ただ・・・ひたすら走って逃げた。

小栄の姿が消えるのを見届けながら、
大刀の下緒を襷とし、男は彼女が戻るはずであった場所へ、
平山五郎がいる部屋に女の代わりに戻った。
それと合わせるかのように平間重助とその女、糸里がいる部屋に控えていた二人の男が入る。

梅は、行ったきり、戻らぬ女の足音など気にも止めずに
、雨音を聞きながら芹沢の帰りを待った。
 

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