「原田、屯所まで運ぶぞ」土方が原田に指示する。
「私が・・・私が連れて帰ります。・・・ここまで、連れて来たのも私ですから ・・・私が、芹沢局長を屯所に連れて帰りますよ」
土方は、総司のその申し出にも無言で許可した。
「これを着ろ、そのなりでは・・・な」 そう言って、 自分の羽織を総司の血まみれの着物の上からはおるように促した。
土方と原田が手を貸し、総司は芹沢を背負った。
「原田、先にいけ、一人も逃がすな」 土方歳三の言葉に原田左之助は、踵を返し、屯所に向かって走った。
「土方さんも行ってください・・・すぐに、私も追いつきます。」 総司は、肩を少し持ち上げるようにして芹沢をおぶり直した。
月を覆い隠した雲は、湿り気を帯びた風を送り込む。 その風は、生を失った芹沢の体から少しずつ熱を奪う・・・・ だが、沖田総司の懐に忍ばせた独楽は・・・温かかった・・・・ あたかも芹沢鴨の体温が独楽に移っていくかの如く。 |