沖田総司の驚いた口調にゆきは少し照れくさそうに首を振った。
「いえ、まだ見習いです・・・けど」
「だから、せんせい・・ですか・・・ てっきり子供達に手習いでも教えておられるのかと思ってました。」
総司は濡れた口を袖でふき取りながら笑った。
「・・・あ、それもしてます・・・けど、だから、診せてください。」
近寄ろうとするゆきを総司は制した。
「さきほど吐き出してすっきりしましたから大丈夫です 巡察の途中ですので、戻らないといけません、これで」
総司は、そばにいた隊士に向かって目で合図した。
有無を言わさぬ総司の口調にゆきはあきらめて、 仕方なく勝太郎の被っている浅葱の羽織を総司に渡そうとした。
その途端、勝太郎が震えだした。
・・・・そう、この子は、自分を守ってくれたものを わかっているのだ・・・ そして、まだこれにくるまれている安堵感が必要なのだ・・・
そう思うと、さきほどまであれほど嫌悪していたダンダラの羽織が・・・
・・何かしら別の物に見えてきた・・・ |