「それよりも早くこの子に水を・・・そうとう乾いている」
ゆきはあわてて勝太郎に柄杓で水を飲ませてやった。 それを確認して総司は自分も側にあった桶の水を一気に喉に流し込んだ。 そして、おもいっきり吐き出した。
ゆきは驚いて総司に駆け寄った。 総司は、手で大丈夫と・・・いう仕草をし、背をさすろうとするゆきを制した。 総司が吐き出した水には、炎に舞い散っていたであろう煤が黒く混じっていた。
そして、今度は乾きを潤すための水を喉を鳴らしながらおもいっきり飲んだ。
「こんなに・・・煤を」水を飲む総司をゆきは心配そうに見た。
「どこか痛めていないか、診せてください。」
「えっ?」総司は水を飲むのを止めてゆきを見た。
「はは、まるでお医者のような口調ですね」 凛とした口調のゆきに思わず出てしまった言葉であった。
「ゆき先生は、お医者はんや」勝太郎が言った。
「お医者・・・ですか・・・」 |