「勝太郎っ」 「しょうぼうっつ」
燃えさかる蔵の中はまさに灼熱・・・窯の中のような熱さである。 子供の名前を叫ぶたび、呼吸とともに熱せられた煙が喉に、そして肺の中に容赦なく飛び込んでくる。
それでも、沖田総司は子供の名前を叫び続けた。
「勝ぼうっつ」
さすがに豪商大和屋の蔵である・・・まだ崩れずにいてくれている。 だが、この火の勢いでは・・・そう長くはもつまい・・・
・・・どこだっ・・・どこにいるっつ
爆ぜる音の中、必死に両耳に神経を集中させた。
「勝太郎っつ」
その時、総司の耳が微かだが子供の泣き声を捕らえた。
「あついよぉ〜・・・」 「おかぁ〜ちゃん、たすけてぇ〜・・・」
いるっつ どこだっつ 総司は必死に辺りを見回した。 片隅にある長持ちからだっ あの中から聞こえてくる。 |