女の回りに子供が数人必死にしがみついている。
ふと自分を押さえ込む力がなくなった。 振り返ってみると自分を容赦なく抑えていた腕が 一人の男によってねじ上げられていた。
「この女の人が何をやったんですか」 総司は、女と子供達の前を平山からせきるように立ちふさがた。
「この女が我々のすることに騒ぎ立てるからだ。 芹澤局長にくってかかろうとするからだ」
それを聞いていた女がキッと平山を睨んだ。
「こんなことをしてっ・・・よくも・・・」女の言葉を総司が手で遮った。
そしてばつの悪そうにもっていた 一升徳利をグイグイ飲んでいる芹澤を凝視した。
「先生、これだけはいけません。」そういって、芹澤の徳利を鞘で叩き割った。
「もう・・・終わりにしてください・・・芹澤局長」
「なにをするかっ 局長に向かってっ」平山五郎が虚勢をはって叫んだ。
だが、足が震えていた。 この男が、沖田総司が本気で怒っているのがわかっていたからだ。
この男の恐ろしさは 倒幕浪士たちよりも同じ隊内にいる自分たちのほうがよく知っていた。 |