だが、沖田総司にとっては、先の命令に心取られている余裕などなかった。
倒幕浪士たちとの命ぎりぎりの斬り合い・・・ 今の自分はそのまっただ中にいるのだ。
近藤勇が決断し、 土方歳三が命令を下し、 そして自分が動く。
それだけのことである。
今の自分はこの目の前にいる、 すでに生への執着を捨てた者との戦いしかないのである。
道場で極めた剣術が辛うじて通用するのは、逃げ道を考えながら向かってくる相手にだけである。 それならば相手の動きの先が読める。
だが、そんなものは命を捨てて向かってくる者には通用しなかった。 なぜなら、その者には先がないのだから、先のない道に待ち伏せることなどできない
だから自分も命を捨てて相手と対峙する。
そして生き残ったほうは・・・運がよかった・・・
それだけなのである。
沖田総司はそう考えながら志士たちとの斬り合いの日々を過ごしていた。
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