二人の逢瀬は幾夜となく続いた。
「うちは、無理矢理どしたんえ・・・無理矢理・・・芹沢はんに・・・うち、 あんひとが恐ろしいて・・・そやから・・うち・・・」
梅は増田の胸にしなだれかかりながら泣いた。
そうに違いない。あの芹澤鴨という男なら・・・ 増田に梅の涙ながらの訴えに疑問など持つはずもなかった。
そして自分の胸にしがみついて涙する梅を一層愛おしく想うのである。
・・・このか弱き女性を助けてやらねば・・・・
増田五郎の中で「芹沢から梅を助けるのだ」という思いが次第に強くなっていき、 そしてついに増田は梅に告げた。
「お梅さん、私と一緒に逃げようっ 芹澤局長のいるここを出て、どこか遠くで私と一緒に暮らそうっ」
増田の命をかけてのすべての投げ打った梅への愛情の告白であった。
梅はしばらく増田を凝視した・・・
増田は梅が「喜んでくれる」そう確信していた。
喜びのあまり驚いて声も出せずにいるのだ・・・と
なぜなら自分たちは愛し合っているのだから。
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