仄暗い部屋を 一本の蝋燭がゆらゆらと影を映す。
しとしと降る雨の音が男たちの呼吸する音をかき消す。 八木家の一室に数人の男達が息を殺し 一人の男の命令が下るのを待っている。
「会津公は、こう言われた・・・ 二股の大木は無用、一本の幹となれ。とのお言葉である。」
近藤勇は、土方歳三、沖田総司、井上源三郎、永倉新八、原田左之助に 会津より下された言葉を伝えた。
そして続けた。
「我々は、根元から切り倒される前に我々の手で、 分かれた幹を切り落とさねばならないっ」
そう言い放つ近藤の眼に寸分の迷いもなかった。 居並ぶ新撰組の強者たちの眼にもそれはなかった。
そして沖田総司の眼にもなかった。
一人 一人の眼を見、確信するかのように頷き、近藤勇は改めて全員を見据えた。
「いいか、けっして失敗は許されぬ。 そして何人にも気取られるなっ だからこそ、この人選とした 顔を見られればその者も斬れ たとえそれが女子供であってもだ 斬りたくないなら、決して見られるなっつ」 |