剣術の構えで耳にしたことがあるとすれば「八相」「正眼」ではないでしょうか。私の小説にもよく使っておりますが、一口に「八相」といっても流派によって、というか流派の数だけ形があるようです。 そして時代によっても変化していきます。剣術流派の源流ともいえる「天真正伝香取神道流」が飯篠長威斎(いいざさちょういさい)により、この世に生み出されたのがおよそ六百年前の室町時代いわゆる戦国時代です。 武士が己の力の限りを尽くし戦わなければ生き残れない戦乱の世です。この戦国時代と幕末という時代は武士、それになろうとした人々が剣を競った時代ともいえるでしょう。 しかし戦国時代と幕末の斬り合いの大きな違いは、室町、戦国は甲冑を身につけ戦い、幕末は素肌剣術と呼ばれる身を晒しての剣の構えは大きく変わって来ます。室町時代、この辺りから主流であった太刀から打刀と呼ばれる刀が武士の中で定着していきます。それまでは腰に紐でつるすように佩いていた太刀(刃を下向きにして携帯)と違い、直接刃を上向きにして帯にさす打刀は、太刀と違い鞘から抜いて刃を返すことなく攻撃できるということと太刀よりも重みが軽減され使いやすいという利点がありました。 そして剣の構えも少しずつ変化していくのです。 |